お薬についての話

心療内科や精神科で使われる頻度の高いお薬(向精神薬)について簡単にまとめておきます。
脳内に作用し何らかの精神活動への影響をもつものを一般に向精神薬といいます。向精神薬には々撹坩駄⊃臾果9海Δ通す垣鎖隻駄ス海討鵑ん薬などがあります。


<抗不安薬と睡眠薬>

「抗不安薬(いわゆる安定剤)は飲んでもいいが睡眠薬を飲むのは嫌」であるとか「<またはその逆>」のお話を患者さんから聞くことがよくあります。しかし最近使われている睡眠薬(ベンゾジアゼピン系)と抗不安薬は実は同じ系統のもので、ともに脳内のベンゾジアゼピン受容体に作用し不安や緊張を和らげる作用を持っています。たまたま抗不安作用の強いものを抗不安薬、催眠作用の強いものを睡眠薬と分類しているだけですから両者の違いを必要以上に意識することはあまり意味のないことになります。

依存や耐性形成(お薬に慣れて効きにくくなること)、離脱症状(急に服薬を中断したときにおこる、不安感や苛々、手の振るえ)などの副作用が全くないというのは嘘になりますが、決められた範囲で服用し、増量や減薬に際しきちんと相談を受けていれば、まず大きな問題はおこらないでしょう。

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は大体15種類程度のものから症状にあわせ使いわけていきますが、作用の仕方は大体どれも同じで、使用にあたってのポイントは作用時間の長さによって使い分けることができるかどうかということになります。寝つきが悪いだけの人が長時間作用するお薬を飲んだ場合、朝の眠気だけが強くなり、寝つきの悪さは全く改善しないままということもあります。

その他の睡眠薬としてバルビツール系の薬やブロムワレリル尿素剤などがありますが、依存性・耐性などの問題があり最近ではほとんど使われなくなっています。

抗不安薬として分類されるものにはベンゾジアゼピン系のものが約20種類、その他のものが2種類あります。どのお薬を選択するかは作用時間と作用の強弱、作用の質(ベンゾジアゼピン系の薬には抗不安作用・筋弛緩作用・催眠作用・抗痙攣作用がみとめられますが、どの作用が強いのかという点に個々の特徴があります)により決めることになります。


<抗うつ薬>


抗うつ薬には三環系抗うつ薬、四環系抗うつ薬、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(選択的セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)などがあります。副作用は三環系抗うつ薬に強くみられ、口渇・便秘・血圧低下などが出現することが多いのですが、四環系抗うつ薬にはこれらの副作用が少なく、SSRIなどではほとんどみられなくなっています。
*SNRIでは若干の副作用がみられます。*SSRIでは服薬開始初期に嘔気がみられることがあります。

主作用である抗うつ作用については意見の分かれるとこですが、やはり三環系抗うつ薬の作用が一番強いのではないかと思われます。

SSRIの中にはパニック障害に適応のあるものや強迫性障害に適応のあるものがあり、昨今使用頻度は増加しています。


<抗精神病薬>

幻覚や妄想、強い焦燥感、躁状態などに対しては、抗精神病薬が使われます。過剰に興奮した神経活動を遮断する作用があり、効果を発揮します。しかし副作用の問題もかなりあり、薬剤性パーキンソニズム、悪性症候群(急激な高熱と筋硬直を特徴とし、放置すれば生命的危険がともなう)などが代表的なものとしてあげられます。従って外来で処方開始するのには、かなりの慎重さが必要となります。
また最近では幻覚などの激しい症状(陽性症状)のあとにみられる、無為・無関心などの陰性症状に対しても有効とされる薬が使われるようになりましたが、効果の程はケースバイケースで特効薬と呼べるものはまだ見出されていないのが実情です。


<抗てんかん薬>

大きく分けて12種類程度の系列があり、その中から癲癇発作のタイプにあったものを選び使っていきます。1種類のお薬で効果が不十分な場合には数種類の薬を組み合わせることになります。抗てんかん薬では適量と中毒量の間が狭く、血液中の薬物濃度を定期的に測定していく必要があります。
また抗てんかん薬の一部には抗躁作用や気分安定化作用があり、癲癇以外の疾患に用いられることもあります。