指尖容積脈波と加速度脈波

皮膚血管(末梢血管)の膨張・収縮を皮膚表面から波形として電気的・機械的にとらえたものを容積脈波と呼びます。一般に皮膚血管は交感神経性血管収縮繊維の神経支配を受けており、交感神経の緊張興奮は毛細管径を細め、結果的には毛細管の血流が減少することになります。この原理に基づき、指先の血管の血流量を評価することで交感神経の興奮状態の指標を得ることができます。具体的には交感神経の過剰興奮により左下の容積脈波の振幅が減少し基線部が動揺するなどの変化が見られます。(現実には加齢に伴う動脈硬化などにより血管内径は狭まりますので、年齢も考慮のうえでの判断になります。)さらにこの容積脈波を2回微分することで、加速度脈波(右下)が得られます。これは末梢血管への血流の変化を捉えたもので血管抵抗や血流に対しての血管の反応性をみることができるようになります。この加速度脈波からいわゆる血管年齢が推測されます。これまで不定愁訴としてとらえられてきた、指先の痺れや冷感などに対してもある程度客観的な評価がおこなえるようになりました。検査自体は血圧を測定後、指先をセンサーに入れるだけ1,2分の検査です。侵襲性はなく痛みも伴いません。注:推定血管年齢が出るということで過度に心配される方もいらっしゃいますが、大切なのは経時的変化を診ていくことです。治療の評価や日々の生活改善の目標として利用されることが望ましいと考えています。
下に簡単な説明と実際の検査結果を示してあります。