重心動揺計

重心動揺計とは直立姿勢時における足底圧の垂直作用力を変換器で検出し、足圧中心の動揺を電気信号変化として出力する足圧検出装置です。めまい・平衡障害を体の揺れ方として捉え、揺れの速さ・方向性・集中度合をコンピューター解析することで、症状の客観評価をおこなうとともに、病巣診断にも役立ちます。
直立姿勢は迷路系(内耳の前庭・半規管),視覚,脊髄固有受容器からの入力刺激が中枢神経系により統合・制御され、四肢骨格筋に出力され動的平衡(動揺しながらの平衡)を保つことにより維持されます。これらの部位のどの部分が原因でめまい、ふらつきなどの症状が出現するのか簡単に評価することは困難でありますが、いくつかの動揺パターンについて検討することで病巣の推測をおこなうことができます。たとえば片側の迷路障害では左右動揺が強く、両側の迷路障害では前後動揺が特徴であり、小脳の前葉障害では約3Hzの前後動揺がみられる、といった具合です。
「めまい・ふらつき」という症状は主観的なものと考えられがちですが、現実にどの程度の揺れがあるのか客観的評価を試みることはとても意義のあることです。MRIなどの精査で異常がなく、対症療法をおこなっていくにしても症状の変化を客観的に診ていくことは重要であると思われます。
検査は標準機能検査(両足立ち、片足立ちなどがどの程度できるか、または歩行の状態の観察・評価)をおこなったうえで、適応があると考えられた方のみ受けていただくことになりますが、症状が強い場合は適宜、検査適応の判断をいたします。
検査そのものは5分程度、検査台の上に両足で立ち、開眼→閉眼の指示に従っていただくだけです。
侵襲性は全くありません。

下図は検査結果の一例(一部抜粋)です。このように視覚的に重心の動揺を捉えることができます。この情報をもとに健常値との比較・解析をおこない、異常の程度やその内容(迷路系の異常であるのか脳機能による異常であるのかの比率が算定される)を診断・治療に役立てます。